はて、風呂。

そしたら私も、旅にでかけよう。 

手を動かす

社会人4年目にして、初の、胸を張っての振休をとりました。土日も含んで5日連休。次はいつになるやら。何も予定を入れない平日で週末を挟んで、週末は小旅行にいって思う存分だらだらするというプラン。言葉のまま、存分にだらけてきた。

思い切ってパソコンは家に置いてきた。代わりに、いつもの落書きノートと、友達から誕生日プレゼントにもらった本2冊と、久しぶりに水彩色鉛筆をお供に。あとトイカメラ。着替えも最小限にして、リュック1つで長距離バスに乗り込んで。

 

ほんとにやりたいこと、頭のどこかでは気付いてる。なにも捨て身覚悟で今走ってるレールから車両脱線させろって言ってるわけじゃない。そう。でも、準備なしに行き先を変えられるほど簡単なことでもない。こればっかりは、いつものわたしの行き当たりばったりな旅行みたいな具合にはいかないわけで。忙殺されないように、虎視眈々と、着実に、行きたい先のことは学んでおくべき。そこは手抜いたらあかん。じゃないと、切り替えポイントがきたときに隣のレールに移れない。いつかは「移る」つもりで、そのための準備はしていこう。楽しんで。目の前のこともおろそかにせず。

半年くらい前な気がするけど、ふとたどり着いた吉本ばななさんのコラム。その通りだなって思ったの覚えてる。とにかく、手を動かす。じゃないと何も始まらない。ぶーぶー文句ばかり言ってる暇あったら、ほんの小さなことでもいいから、動けばいいんだ。動いたもん勝ち。楽しんだもん勝ちだよ。

吉本ばなな 書き下ろしコラム『手を動かす』 – スマイルすまい

 

会いたい人:山崎亮さん、大橋裕太郎さん。会いたい人に会うために、手を伸ばすことも、会うに恥じない自分でいることも、努力しないと。楽しんで。

 

多趣味、というコトバに出会って、あー、自分みたいな人のことをこういう形容の仕方もあるんだ、と。趣味、で括られるとむっとしちゃう部分もあるんだけど、でも客観的にみたらたしかに、このひとことで片付くんだよな。そうそう、旅行のお供、ラジオはやっぱり切り離せなかった。久しぶりに聴いたヤバ音で、すてきな曲にも出会えた。もっと聴くようにしよう。お風呂deラジオ、つづけよう。帰宅したらすぐお風呂、もつづけよう。踏ん張りどきだ、今も。

カレーの惑星

さて、ここからが実は前回の本題だったりします。タイトルの一文「暑い日に熱いものが食べたくなるのはなぜ」の問いを置き去りのまま、美容室の話だけでつらつら書いてきちゃったけど。

 

ギンザでさっぱり髪を切ってもらって、下北に帰ってきたのが土曜の十四時半。この日も順調に暑い日で、ホコ天の車道のど真ん中でパラソルひろげて優雅にランチな銀座の街を横目に、メトロに乗って井の頭線に乗り継いでるあたりで、お昼ごはんはカレーの気分だった。

シモキタはカレーの町だ。演劇や音楽や古着の町でもあるけど、最近はたこ焼き屋が増えた気がするけど、毎年町規模でカレーフェスなんてやってるくらいなんだからこれは揺るがない立派な肩書きのひとつでしょう。そんな町に引っ越して、早いものでもう八ヶ月が過ぎた。先月やっと、友達とスープカレーのお店に一つだけ行ったくらいで、ちっともまだカレーの町を堪能してない。

こないだの日曜日、大学時代の友人と、麺類をもとめて下北を歩いた。(ちなみに彼女は、鎌倉でらーめん五軒を共にはしごした戦友)いくつか目星もつけてたんだけど、暑さに負けて、限界に達したそのとき近くにあったラーメン屋に即決したっていうオチでした。そこでお昼ごはんを済ませたあと、駅までの帰り道に見かけたのが「カレーの惑星」。そのネーミング、こじんまりしたほどよいサイズ感と、フジカラーと書かれた緑のテント。つっこみどころ満載だ。下北のカレー屋といえば!的な王道店さえもまだ口にしていなかったけど、もう一択即決で、この日は惑星目指してギンザからあちぃ旅に出たのでした。

お店に着いたのはラストオーダー十五時の数分前。まだやってるかな、とどきどきしながら店員のお兄さんに声をかける。カウンター席を片付けて通してくれた。店内には、テーブル席におひとりさまな女性が三人、カップルがカウンターに一組、そして店主の女性が盛り付けの最中。冷房なし、扇風機のみ。あちぃ。夏、って感じだ。もしかすると屋外のほうが風通しがよくて涼しいのでは?という、キッチンの熱気との持久戦にうっかり放り込まれた。汗っかきにはたまらない。読みかけの文庫本とハンカチをカバンから取り出した。

ランチメニューは単純明快で、バターチキンと、季節のなんちゃら的なものの二つがメイン。そのほかに添え物系が数品、あと飲み物。お隣のカップルがお会計を済ませたり、電話が鳴ったり、が一通り落ち着くまで本に目を通すことにして、店員のお兄さんのタイミングを待った。ずっと積ん読してた、阿川佐和子さんのエッセイ「残るは食欲」。この状況を楽しむのにぴったりだ。美容室でもちょいちょい読み進め、だいたい三分の一くらいまできたぞ。少ししてお兄さんに声をかけられ、初来店だし、とまずはバターチキンを頼んだ。あと、席についてすぐに目が合ってしまった「プラムサワーソーダ」の手書き文字。目の前にはまさにその漬けこまれたプラムさんの瓶がどどんと。飲まないわけにはいかないでしょう。そうしてるうちに後ろのテーブル席のお姉さんがまたひとりお会計に立ち、もうひとりには同じくバターチキンのカレーが出された。

キッチンには二口のコンロと流し場、大きめの冷蔵庫。〇〇くんもお水飲んでね、熱中症になっちゃうよ、という店主の言葉に心の中でわたしもそうだそうだと頷いて、お兄さんが冷えたコップを手に取ったところを目にしてひと安心。じんわり汗がにじんでくるおでこをハンカチでおさえながら、阿川さんの愉快な食卓の描写を読みながら、耳からは店員お二人の会話が入ってくる。電話でテイクアウトの注文が入ったらしい。十分後にはできるから取りに来てね、相手は常連さんだろうか。こんなお店が近所にあるなんて、いいなぁ。わたしは灼熱のコンクリ地獄を通過しないと来られないからなぁ、だったらもうお店で食べてしまいたくなるな。ふたりの会話は、決して聞き耳を立ててこっそりと聞いているつもりはない、むしろ堂々と正面切って聞いてるくらいの気概をもっております。その証拠として、お弁当を盛り付け始めた頃に、店長さんが、あれ、さっきわたし取りに来るの何分後って言ったっけ?十分?二十分?と。洗い物をしていたお兄さんも手を止めて、えーっと・・と。ふたりが記憶をたどり始めたとき、すかさず「十分って言ってましたよ」とカウンターから声をかけましたもの。にっこり笑顔でありがとう、と返してくれた店長さん。ふふ。外で食べるのってこういうことがあるからすきだ。

プラムサワーソーダは、食前にいただいた。店内にこもる熱気のなかを扇風機ひとつで戦い抜くにはどんぴしゃりなお味でした。すっぱ甘さわやか!カレーと一緒にも飲みたかったから、飲むペースをおさえて我慢した。目の前からカウンター越しにカレーを出してもらった。左がごはん、右がカレー。ふむふむ、我が家と同じレイアウトですね。ごはんの上に、かわいらしい彩りのサラダなどがころころり。盛り付けってだいじだなとつくづく思う。お皿を受け取ったとき、店長さんが洋服を褒めてくれた。ふふ。シモキタ産ですよ。夏だけど、たんぽぽの黄色が目をとまってつい最近買った一着。ついでにと自分に言い訳してメンダコの小皿も一緒に買っちゃったんだけどね。だってメンダコだよ、どんなセンスしてるのこの作家さん。シカ、ウサギ、など王道のかわいいやつらなラインナップにこいつをまぎれこませるなんて。だいすきです。

バターチキンカレーをはふはふ言いながら食べて、ごちそうさまでしたと手を合わせて、お会計して。十五時半過ぎ。十九時から池袋の小劇場へ行く予定があったので、役者の友人への差し入れを考えながら家路へ。たしか駅からすぐだったけど、もっかい電車調べとこ、と公演のお知らせページをスマホでひらいたわけです。そしたらまさかの、千秋楽であるこの日だけ、夜公演が十七時スタートで。え、十七時に池袋?もうすぐ十六時?やばいやばいと脳内で出川があたふた、にしてもこのタイミングで気付いてよかった。。ということにしておこう!出川で遊んでる場合じゃない、ひと休みしてのんびりしてから出発だなんて余裕は消え去り、もわんと熱気のこもった部屋でちゃちゃっと支度してばたばたと家を飛び出した。何やってんだか。

カレー食べてたあの空間だけちょっと異次元でたのしかった。惑星感、ということにしておく。フジカラーのテントの話も聞きそびれちゃったし、またそのうち行きます。ちなみに友人へのお土産は、池袋の改札口横で売ってた八天堂のクリームパンでしたとさ。