はて、風呂。

そしたら僕は、旅にでかけよう。 

トラ猫みたい。

あまり上手とは言えない歌だった。枯れた声と弾かれる弦の音。池のこちら側へ水がそいつらを運んできて、やさしさを添えて、こうして何事もなかったかのように通り過ぎたこの今になって、あの歌声の余韻が波のように耳の中で反響している。10月中旬、少しずつ冷えてきた夜風が心地よいこんな夜に、仕事帰りに明日の朝食の健康ドリンクを買ってぷらぷらと、耳を凝らし聴いたわけでもなく、ただ聞こえてきた音がただ流れ消えてゆくのを歩き過ごした、そんな感じがちょうどあの波長と添い寝したのかもしれない。しゃがれ声、どこかで聞いたことのあるような、そんなことは決してないはずなのだけど。シャウトとアツい歌詞が似合うあの人ともちがう、なんだか寂しげで、けれど心の表裏は一致しているような、意志の見てとれる歌い方。トラ猫みたい。偏見だけど。